「自分の手取りはどれくらいなんろうか?」
自身の手取り金額 正しく把握していますか。
今回は、フリーランスの手取りの計算方法や、売上から引かれる税金と健康保険料、手取りを増やす方法について解説します。
フリーランスの手取りを計算する方法
まずは、フリーランスの手取りの計算方法について説明します。
フリーランスの手取り収入の考え方
フリーランスの場合、特定の会社と雇用契約を結んでおらず、
複数の企業と取引をしながら収入を得ている方がほとんどかと思います。
取引先からの振込金額など、手にするお金=手取りではありません!
フリーランスは、手にするお金の中から健康保険料や税金を支払うことになります。
フリーランスの手取りの計算式
フリーランスの手取りの計算式は、以下のとおりです。
手取り = 売上 - (経費 + 社会保険料 + 税金)
フリーランスとして売り上げた金額の中から、事業を営むために必要な経費を支払います。
そこからさらに社会保険料や税金を支払った、残りが手取り金額です。
フリーランスの手取り金額早見表
今回は、下記の条件下での年収と手取り金額を出しました。
- 39歳未満の1人世帯
- 経費は収入の10%
フリーランスの手取りを年収別に示した早見表は、下記の通りです。
年収 | 手取り |
300万円 | 約180万円 |
400万円 | 約240万円 |
500万円 | 約300万円 |
600万円 | 約360万円 |
700万円 | 約420万円 |
800万円 | 約480万円 |
900万円 | 約540万円 |
1,000万円 | 約600万円 |
上記を月収に直すと下記の通りです。
月収 | 手取り |
25万円 | 約15万円 |
33万円 | 約20万円 |
42万円 | 約25万円 |
50万円 | 約30万円 |
58万円 | 約35万円 |
67万円 | 約40万円 |
75万円 | 約45万円 |
83万円 | 約50万円 |
手取り早見表から、収入に対する手取り金額の割合は、だいたい60%になっていることが分かるでしょう。
上記の割合は経費や年齢、扶養人数などにより異なります。
手取りが多くなったり少なくなったりするので、あくまでも目安程度として考えてください。
次に、年収別に手取り金額をみていきましょう。
年収300万円(月収25万円)のフリーランスの手取り
項目 | 月額 | 年額 |
収入 | 25万円 | 300万円 |
△経費 | 3万5,000円 | 30万円 |
△国民年金 | 1万6,000円 | 19万2,000円 |
△国民健康保険 | 3万6,000円 | 43万5,000円 |
控除後の所得金額 | 17万3,000円 | 207万3,000円 |
△所得税 | 9,000円 | 11万円 |
△住民税 | 1万7,000円 | 20万円7,000円 |
差し引かれる金額の合計 | 10万3,000 | 124万4,000円 |
手取り金額 | 14万7,000円 | 175万6,000円 |
年収400万円(月収33万円)のフリーランスの手取り
項目 | 月額 | 年額 |
収入 | 33万,000円 | 400万円 |
△経費 | 3万3,000円 | 40万円 |
△国民年金 | 1万6,000円 | 19万2,000円 |
△国民健康保険 | 4万2,000円 | 50万円 |
控除後の所得金額 | 24万2,000円 | 290万8,000円 |
△所得税 | 1万6,000円 | 19万3,000円 |
△住民税 | 2万4,000円 | 29万1,000円 |
差し引かれる金額の合計 | 13万1,000円 | 157万6,000円 |
手取り金額 | 20万2,000円 | 242万4,000円 |
年収500万円(月収41万円)のフリーランスの手取り
項目 | 月額 | 年額 |
収入 | 41万7,000円 | 500万円 |
△経費 | 4万2,000円 | 50万円 |
△国民年金 | 1万6,000円 | 19万2,000円 |
△国民健康保険 | 4万7,000円 | 56万4,000円 |
控除後の所得金額 | 31万2,000円 | 374万4,000円 |
△所得税 | 2万7,000円 | 32万1,000円 |
△住民税 | 3万1,000円 | 37万4,000円 |
差し引かれる金額の合計 | 16万3,000円 | 195万1,000円 |
手取り金額 | 25万4,000円 | 304万9,000円 |
年収600万円(月収50万円)のフリーランスの手取り
項目 | 月額 | 年額 |
収入 | 50万円 | 600万円 |
△経費 | 5万円 | 60万円 |
△国民年金 | 1万6,000円 | 19万2,000円 |
△国民健康保険 | 5万2,000円 | 62万9,000円 |
控除後の所得金額 | 38万2,000円 | 457万9,000円 |
△所得税 | 4万円 | 48万8,000円 |
△住民税 | 3万8,000円 | 45万8,000円 |
差し引かれる金額の合計 | 19万6,000円 | 236万7,000円 |
手取り金額 | 30万4,000円 | 363万3,000円 |
年収700万円(月収58万円)のフリーランスの手取り
項目 | 月額 | 年額 |
収入 | 58万3,000円 | 700万円 |
△経費 | 5万8,000円 | 70万円 |
△国民年金 | 1万6,000円 | 19万2,000円 |
△国民健康保険 | 5万8,000円 | 69万3,000円 |
控除後の所得金額 | 45万1,000円 | 541万5,000円 |
△所得税 | 5万5,000円 | 65万6,000円 |
△住民税 | 4万5,000円 | 54万1,000円 |
差し引かれる金額の合計 | 23万2,000円 | 278万2,000円 |
手取り金額 | 35万1,000円 | 421万8,000円 |
年収800万円(月収66万円)のフリーランスの手取り
項目 | 月額 | 年額 |
収入 | 66万7,000円 | 800万円 |
△経費 | 6万7,000円 | 80万円 |
△国民年金 | 1万6,000円 | 19万2,000円 |
△国民健康保険 | 6万3,000円 | 75万8,000円 |
控除後の所得金額 | 52万1,000円 | 625万円 |
△所得税 | 6万9,000円 | 82万3,000円 |
△住民税 | 5万2,000円 | 62万5,000円 |
差し引かれる金額の合計 | 26万7,000円 | 319万8,000円 |
手取り金額 | 40万円 | 480万2,000円 |
年収900万円(月収75万円)のフリーランスの手取り
項目 | 月額 | 年額 |
収入 | 75万円 | 900万円 |
△経費 | 7万5,000円 | 90万円 |
△国民年金 | 1万6,000円 | 19万2,000円 |
△国民健康保険 | 6万9,000円 | 82万2,000円 |
控除後の所得金額 | 59万円 | 708万6,000円 |
△所得税 | 8万3,000円 | 99万4,000円 |
△住民税 | 5万9,000円 | 70万9,000円 |
差し引かれる金額の合計 | 30万2,000円 | 361万7,000円 |
手取り金額 | 44万8,000円 | 538万3,000円 |
年収1000万円(月収83万円)のフリーランスの手取り
項目 | 月額 | 年額 |
収入 | 83万3,000円 | 1,000万円 |
△経費 | 8万3,000円 | 100万円 |
△国民年金 | 1万6,000円 | 19万2,000円 |
△国民健康保険 | 7万1,000円 | 85万円 |
控除後の所得金額 | 66万3,000円 | 795万8,000円 |
△所得税 | 10万円 | 119万4,000円 |
△住民税 | 6万6,000円 | 79万6,000円 |
差し引かれる金額の合計 | 33万6,000円 | 403万2,000円 |
手取り金額 | 49万7,000円 | 596万8,000円 |
一般的な目安ですと、手取り金額はフリーランスよりも会社員の方が多いです。
基本的に会社員は収入の75~85%が手取り金額になるのに対し、フリーランスの手取り金額は収入の60~70%が目安となります。
ただし、フリーランスの場合は家賃や光熱費の一部など、会社員が手取りから支払わなければならないものを経費に計上できます。
会社員が手取りから支払っているものを経費から外してフリーランスの手取り金額を計算すると、必ずしもフリーランスの方が手取り金額が少ないとはいえないでしょう!
売上から引かれる税金と社会保険料
フリーランスが売上から引かれるものは大きく分けて2つあります。
- 税金
- 社会保険料
税金:
- 所得税
- 住民税
- 個人事業税
- 消費税
- 固定資産税・償却資産税
社会保険料:
- 国民年金保険料
- 国民健康保険料
- 介護保険料
それぞれについて簡単に解説していきます。
所得税
所得税は、1年間(1月1日~12月31日)で儲けた所得金額に対して国に支払う税金です。
所得とは・・・収入から経費を引いた利益の部分のこと。
フリーランスだけではなく、会社員など、一定以上の所得がある人はみな、国に対して所得税を納めなければなりません。
会社員:会社が代行して徴収・納税。
フリーランス:確定申告によって所得税額を確定し、納税。
所得金額に応じて、所得税が5%、10%、20%、23%、33%、40%、45%と変化していきます。
住民税
住民税は、個人が都道府県と市区町村に支払う税金です。
住民税には、所得に対して支払う「所得割」の部分と、その自治体に住んでいることに対してかかる「均等割」の部分があります。
所得割の部分は、課税対象となる所得に対して一律で10%が課されます。
フリーランスの場合、確定申告によって所得税額が決まり、そのデータが自動的に市区町村に回されます。やがて、回されたデータに基づいて市区町村から納付書が郵送される形になります。
支払い納期は選択が可能:
- 一括
- 6月末、8月末、10月末、1月末の4回
個人事業税
個人事業税は、支払いの対象になるフリーランスと、そうでないフリーランスがいます。
地方税の一種で、都道府県に対して支払います。
対象になる事業を営んでいて、事業所得が290万円を超えるフリーランスは、個人事業税を支払わなければなりません。
対象事業:
- 物品販売業・製造業など37業種
- 畜産業・水産業・薪炭製造業
- 医業・弁護士業など30業種
なお、農業・林業・鉱物採掘事業は個人事業税の対象外です。
納付時期は原則として年2回(8月と11月)です。
納税通知書は、8月に各都道府県から送付されます。
消費税
フリーランスの中には、事業主として消費税の納税義務を負う人たちもいます。
消費税の納税義務は、以下の項目のいずれかに該当することで発生します。
- 2年前の課税売上高が1,000万円以上
- 2年前の課税売上高は1,000万円以下だが、1年前の1月1日から6月30日までの課税売上高が1,000万円を超えている
- 消費税課税事業者選択届出書を提出している
フリーランスとして消費税を納めなければならなくなった場合は、本則課税か簡易課税という方法で税額を計算します。
フリーランスの場合、1月から12月までの消費税額を計算して、3月末までに消費税の確定申告と納税を済ませます。
令和5年からは「インボイス制度」が課せられるため、これまで免税事業者であった場合でも消費税の支払いが必要になる場合があります。
固定資産税・償却資産税
自宅(持ち家)を仕事場にしているフリーランスは、固定資産税を支払わなければなりません。
固定資産税・・・市区町村が土地や家屋を所有している住民に対して課している税金。固定資産の評価額に基づいて算出。
フリーランス側が申告する必要はなく、市区町村から納税額が記された納付書が届きます。
基本的には、納期は年4回に分けられています。
固定資産税だけではなく償却資産税も課される場合もあります。
償却資産税・・・市区町村が固定資産に対して課税するもので、固定資産税の一部。
事業用の減価償却の対象になる設備・機械・備品などを有していると課税されます。
国民年金保険料
日本の場合、国内に住んでいる(住民票が日本の市区町村にある)20歳から60歳未満の人はみな国民年金に加入します。
会社員の場合、国民年金の第2号被保険者のため、会社が加入している厚生年金保険や共済組合が自分の代わりに保険料を支払ってくれるので、自分で納める必要はありません。
フリーランスの場合は第1号被保険者となるため、国民年金の保険料を全額自分で納めなければなりません。
国民年金保険料は所得に関係なく一律で、その年によって金額が変動します。
国民健康保険料
フリーランスのほとんどは、国民健康保険に加入することになります。
国民健康保険料は、市区町村の判断によって所得割や均等割などの方式で算出されます。
介護保険料
40歳から64歳までの健康保険の加入者は、健康保険料とともに介護保険料も支払うことになります。
介護が必要な高齢者を社会全体で支えるのが介護保険の目的で、自分自身が高齢者になったときは、この制度のおかげで自己負担額を抑えることができます。
市区町村から届く国民健康保険の納付書の通りに納めれば、自動的に介護保険料も支払うことができます。
フリーランスが手取りを増やすためにできること
これまでフリーランスの手取り額の計算方法や引かれる税金について解説してきました。
次に、フリーランスが手取りを増やすためにできることについて解説していきます!
経費を計上する
経費とは・・・事業を営むうえで必要になるお金。
経費を計上することによって課税対象になる所得金額を少なくすることができます。
課税対象になる所得金額が少なくなると、その分だけ所得税が少なくなるため、手元に残るお金が増えます。
控除の活用
かかる所得税を減らして手取りを増やすために、控除も積極的に活用しましょう。
フリーランスが活用できる控除にはさまざまなものがありますが、中でも効果的なのが青色申告に伴う特別な控除です。
控除額は65万円ですので、大きいでしょう!
iDeCoへの加入する
フリーランスの場合、iDeCoに加入することで節税効果が得られます。
節税できれば、その分だけ手元に残るお金が増えます。
iDeCo(個人型確定拠出年金)とは・・・公的年金にプラスする私的年金制度。
加入は任意で、加入後に自分で拠出・運用していき、掛金と運用益の合計を受け取れます。
掛金が全額所得控除になるため節税効果があります。
老後を見据えて、長い目で自由に使えるお金を増やすために活用できる制度です。
売上自体を増やす
手取りを増やすために税金を減らすことを考えるのもよいのですが、売上自体を増やすことで手取りを増やすことも大切です。
売上自体を増やすためには、
- 仕事の単価を上げる
- 仕事の受注を安定させる
- 自分の稼働時間を増やす
などが考えられるでしょう。
自分自身のスキルアップも忘れずにしていきましょう。
最後に
フリーランスの手取り金額の計算方法と引かれる税金などについて解説してきました。
自分の手取り額を正しく把握して、賢く節税や売上アップに励めるといいでしょう。
ぜひ参考にしてください。
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