個人事業主として成長を続ける中で、従業員の雇用を検討する時期が来るでしょう。
今回は、個人事業主が家族を従業員雇用する際のメリットや注意点、必要な手続きについて詳しく解説します。
従業員を雇用して事業を成長させたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください!
個人事業主が従業員を雇用する際に必要な手続き
個人主が従業員を雇用する際には、いくつかの重要な手続きが必要です。
これらの手続きを正しく行わなくてはなりません!
労働条件を通知する
労働基準法に定め、従業員に労働条件を書面で通知することが求められます。
「労働条件通知書」には以下の項目を含める必要があります:
- 労働契約の期間
- 有期労働契約を更新する場合の基準
- 就業場所
- 業務内容
- 始業/終業の時刻、休憩時間、就業時転換、所定時間外労働の有無について
- 休日・休暇について
- 賃金の決定、計算・支払方法、賃金の締め切り・支払日に関して
- 昇給、賞与、退職金の有無
- 退職に関して
労働保険の加入手続き
従業員を1人でも雇用する場合、労働保険への加入が義務付けられています。
労働保険は労働災害保険と雇用保険から成り、業種や規模に関係なく加入が必要です。
パート・アルバイトの場合、以下の条件を満たせば雇用保険の対象となります:
- 週20時間以上の勤務
- 31日以上の雇用の見込みがある
社会保険の手続き
一定の業種で常時5人以上を雇用する事業所では、社会保険(健康保険、介護保険、厚生年金保険)への加入が義務付けられています。
パート・アルバイトでも、通常の労働者3/4以上の勤務時間がある場合は加入が必要です。
一定の業種に含まれる業種:
製造業、土木建築業、鉱業、電気ガス事業、運送業、貨物積み下ろし業、清掃業、物品販売業、金融保険業、保管賃貸業、媒介周旋業、集金案内広告工業、教育研究調査業、医療保険業、通信報道業、社会福祉業、弁護士業など
税務署への届出と源泉徴収の準備
従業員に給与を支払う場合、源泉徴収が義務付けられています。
以下の手続きが必要です:
- 「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」の提出(雇用開始から1ヶ月以内)
- 「給与結果の源泉徴収税額表」の準備
- 従業員からの「給与取得者の承諾等(譲渡)申告書」の受領
源泉所得税の納付は通常毎月ですが、従業員が10人未満の場合は年2回(7月10日と翌年1月20日)の納付とする特例が適用できます。
個人事業主が家族を従業員として採用するメリット
個人事業主が家族を従業員として雇用することには、いくつかのメリットがあります。
なお、この場合は一定の条件を満たす必要があります。
青色申告と白色申告のどちらでも、
- 個人事業主と生計を共にする配偶者や15歳以上の子などの親族が対象
- 年間6か月を超えて専属的に従事していること
が求められます。
メリット1:青色申告者では、青色事業専従者給与を経費計上可能
青色申告を行う個人事業主には、青色事業専従者給与を必要経費として消化できるという大きなメリットがあります。
この制度を活用すると、個人事業主の所得税や住民税を軽減できます。
給与額は一般的な相場を参考に設定する必要があり、金額の基準はありませんが、仕事内容を明確にし、それに見合った給与を設定することが重要です。
メリット2:白色申告では、事業専従者免除の適用が可能
白色申告を選択した個人事業主は、事業専従者控除を受けられます。
配当金額は下記いずれかのうち、低い方の金額となります:
- 配偶者の場合は86万円、その他の専従者は一人につき50万円
- 事業専従者控除適用前の事業所得等の金額を専従者の数に1足した数で割った金額
この制度では、実際の給与支払額に関係なく、上記の計算で定められた金額が必要な経費として認められます。
メリット3:労働保険手続きが不要
家族従業員の場合は、原則として労災保険や雇用保険の対象外となります。
ただし、例外もあります。
家族以外の従業員がいて、家族従業員が他の従業員と同じ働き方をしている場合は、労災保険の対象となる場合があります。
下記のいずれの条件も満たす場合、労災保険の対象になります:
- 事業主の指示に従って働いている
- 勤務時間や給与の計算基準が他の従業員と同じ
個人事業主が従業員を雇うには管理が不可欠
個人事業主が従業員を雇うには、給与だけでなく様々な管理を必要とします。
従業員の各種税金や社会保険料などをしっかりと計算し管理することは、経営者の重要な義務です。
【従業員を雇うにあたり管理が必要な事項】
- 従業員名簿の作成・管理
- 出勤簿やタイムカードの作成と管理
- 従業員の給与計算と支払い
- 給与台帳の作成と保管
- 給与による所得税や住民税、保険料などの計算と支払い
- 年末調整
給与計算と年末調整の重要性
給与の計算と年末調整は、従業員管理に関して特に重要な業務です。
これらの作業は思いのほか時間と労力を要しますが、正しく行う必要があります。
まず、給与計算の流れを見てみましょう:
- 初期報酬を基準に設定
- 社会保険料を計算する
- 所得税・住民税を計算する
- 源泉徴収額を差し引いた金額を給与として支払い
次に、年末調整についてです。
個人事業主だけの場合は不要ですが、従業員を雇用する場合には、必ず年末調整行う必要があります。
年末調整とは・・・
源泉徴収されている所得税と実際の税額の差を精算するための手続き。
雇用者がいる場合は、必ず実施しなければなりません。
個人事業主が従業員を雇用するには法人化すべき?
従業員を雇用する際、個人事業主として続けるか法人化するかは重要な決断でしょう。
法人は税率が固定のため、一定の所得を超えている場合は、法人化した方が節税効果が高いと言えます!
法人化を検討するタイミング
法人化を検討する目安として、以下の条件が挙げられます:
- 売上が経常的に1,000万円を超える
- 黒字が継続している
- 事業拡大を目指している
これらの条件を満たす場合、法人化によるメリットが大きくなる可能性があります。
専門家への相談の重要性
法人化の判断は事業の将来に大きな影響を与えます。
そのため、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
専門家は下記のような相談に乗ってくれます。
- 税金シミュレーションの実施
- 事業計画に基づいたアドバイス
- 法人設立手続きのサポート
最後に
個人主が従業員を雇用する際には、雇用するメリットと必要な手続きを理解することが重要です。
給与計算や年末調整は特に注意が必要で、必要に応じて専門家に相談すると良いでしょう!
ぜひ参考にしてください!
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