会社員からフリーランスになる場合、会社を退職する前後でさまざまな準備が必要です。
自分で手続きを進めなければなりませんが、「失敗せずスムーズにフリーランスに転身したいけど、どんな手続きが必要かわからない」という人も多いのではないでしょうか?
そこで今回の記事では、フリーランスに転身する際に、退職前後でやっておくべき手続きをまとめています。
これからフリーランスとして独立しようとしている人はぜひ参考にしてください。
フリーランスになる前にやるべきこと
フリーランスになると、社会的な信用が必要な手続きは通りにくくなる傾向にあります。
新しく手続きが必要な場合は、信用がある会社員のうちに済ませておきましょう。
次から、会社員のうちに済ませておきたい手続きをご紹介します。
クレジットカード作成・ローンを組む
クレジットカードの作成は、収入が不安定になりやすいフリーランスだと審査に通りにくい傾向があります。
そのため、クレジットカードを作成する予定がある場合は、会社員のうちに作成しておきましょう。
個人用とは別に事業用のクレジットカードがあると、帳簿をつけるときに便利です。
クレジットカードと会計ソフトと連携させれば、入出金の内容が自動取得され、確定申告時に入力の手間を省けます。
事業用にクレジットカードを作成する場合も、会社員のうちに手続きを進めましょう。
ローンもフリーランスになってからでは審査が通りにくい傾向にあります。
事業を開始するために資金が必要な場合も考えられるため、計画的にローンを組みましょう。
不動産の賃貸契約
開業直後は確定申告で信用の証明ができないため、会社員に比べて不動産の賃貸契約が難しい傾向にあります。
そのため引っ越しや事務所を借りる予定がある場合は、会社員のうちに契約すると安心です。
フリーランスになってから契約しようとしたらできなかった、ということがないように計画的に契約を進めましょう。
保育園の継続確認
子どもが保育園に通っている場合は、継続するために必要な手続きを、事前に自治体や保育園に確認しましょう。
就労時間の決定や、開業届など書類の提出が必要な場合もあるため、スムーズに継続手続きを進められるように準備しましょう。
すぐに開業しない場合は、求職要件で猶予期間が設けられますが、自治体や保育園によって期間はさまざまです。
猶予期間が過ぎて退園になってしまうことがないように、開業準備を進めましょう。
フリーランスになってからやるべきこと
会社を退職しフリーランスへ転身後は、開業届や社会保険の手続きが必要です。
フリーランスとしての仕事に集中できるように、退職後すぐに手続きを進めましょう。
開業届の提出
開業届とは、個人事業を開業したことを税務署に申告するための書類です。
一般的に開業してから1ヶ月以内に提出する必要がありますが、1ヶ月を過ぎてからでも罰則はありません。
開業届を提出すると、フリーランスとして事業をする上でメリットが多いため、なるべく早く提出することをおすすめします。
次から開業届を提出するメリットについてご紹介します。
青色申告で最大65万円の控除が受けられる
開業届を提出する際に青色申告承認申請書を提出すれば、最大65万円の控除が受けられます。
65万円控除を受けるためには、複式簿記での記帳やe-Tax等による電子申請する必要があります。
複式簿記は知識が必要だと思われがちですが、青色申告に特化した会計ソフトを使えば、知識が浅くても申告できます。
青色申告すると、65万円の控除以外にも下記のメリットがあります。
- 家族に支払う給与を経費にできる
- 赤字を最大3年間繰り越せる
- 10万以上30万未満の高額な備品等を一括で経費計上できる
青色申告を受けるためには、開業2ヶ月以内に税務署に申請する必要があります。
期限を過ぎると来年からの適用となるため、開業届と同じタイミングで提出することをおすすめします。
個人事業主としての証明
就労を証明する書類として、開業届の控えを求められる場合があります。
たとえば保育園の入園申請や、クレジットカードの作成時などに開業届の控えを提出することで、就労の証明が可能です。
屋号名義で口座開設ができる
開業届に屋号を記載して提出すると、事業用の屋号名義で口座を開設できます。
屋号名義の口座を開設することで得られるメリットは下記があげられます。
- 事業に関する入出金の管理がしやすくなる
- クライアントの信用が得られる
- 実名を伏せて活動できる
また、事業用の口座と会計ソフトと連携させれば、入出金データの自動取得が可能になります。
確定申告時に入力の手間を省けるのでおすすめです。
個人用の口座以外を持っていない場合は、屋号名義での口座開設を検討しましょう。
健康保険の切り替え
健康保険は加入しない場合、全額自己負担になってしまうため、退職後すみやかに切り替え手続きをしましょう。
健康保険には、主に下記の種類があります。
- 国民健康保険への加入
- 前職の健康保険を任意継続
- 配偶者の会社の健康保険への加入
- 国民健康保険組合への加入
次から詳しく説明します。
国民健康保険への加入
国民健康保険は退職後に加入する人が多い健康保険で、退職後14日以内に役所での手続きが必要です。
所得に応じて保険料が変化する点や、会社員よりも高くなる点は注意が必要です。
前職の健康保険を任意継続
前職の健康保険を任意継続する場合は2年間しか加入できず、会社が負担していた分も支払うため保険料は2倍になります。
任意継続期間が終了した後は、自分で新たな健康保険へ移行する準備の必要があるため、注意が必要です。
配偶者の会社の健康保険への加入
扶養内で働く予定の場合は、配偶者の会社の健康保険に加入できます。
ただし、開業している場合は、経費として認められるものが会社によって違います。
社会保険の扶養を受けたい場合は、配偶者の保険組合に条件を確認しましょう。
国民健康保険組合への加入
国民健康保険組合は、業種ごとにそれぞれ形成されている組織です。
保険料が一律であるため、所得によっては国民健康保険よりも保険料が安くなります。
加入するには、組合が設定している条件を満たす必要があります。
条件の例としては、下記があげられます。
- 組合が指定する業種であること
- 組合加盟団体の会員であること
- 年会費を支払うこと
Webフリーランス向けの組合としては、デザイナーやライターなどのクリエイティブ系のフリーランスで構成されている「文芸美術国民健康保険組合」などがあります。
組合に入る場合は、しっかりと条件を確認した上で申し込みましょう。
年金の切り替え
国民年金への切り替えは退職後すみやかに手続きしましょう。
手続きが遅れて未納状態が続くと、将来の年金受給額が減る可能性もあるため注意が必要です。
扶養内の所得であれば、配偶者の会社で手続きをすることも可能です。
健康保険と同様に、配偶者の健康保険組合に扶養の条件を確認しましょう。
まとめ
会社員からフリーランスになる場合、会社を退職する前後でさまざまな準備が必要です。
期限内に進めないとデメリットが発生する手続きも多いため、計画的に手続きを進めましょう。
会社員からフリーランスへスムーズに転身するために、この記事が参考になれば幸いです。
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