フリーランスになったら「屋号を付けるかどうか」は多くの人が悩むことの1つです。
なぜなら、開業届や確定申告書に記載欄があるため、付けるべきか迷っている人が多いためです。
本記事では、屋号の役割、フリーランスが屋号をもつメリットデメリット、屋号の決め方などをご紹介します。
・フリーランスに屋号は必要か?役割がわかる
・屋号を付けるメリット・デメリットがわかる
・屋号をつけたほうがいいケースがわかる
・フリーランスの屋号の決め方がわかる
・フリーランスの屋号の手続きがわかる
(1)フリーランスに屋号は必要?役割とは?
屋号とは法人で言うと「会社名」に当たります。
国税庁HPでは以下のように解説されています。
屋号又は雅号とは、個人事業者の方が使用する商業上の名のことです。
よって、個人事業者の方においては、商店名等を入力してください。
雅号とは、著述家、画家、書家、芸能関係者などが本名以外につける別名のことです。
出典:国税庁
使うケースとしては、名刺に記載したり、開業届や確定申告書に記載したりなどです。
実は屋号をつけるかどうかは任意です。
日常的に使用していないケース、例えば、確定申告や開業届に書くだけのために屋号を付けて、実際の仕事では屋号を全く使っていないということなら、屋号は不要です。
屋号は無理してつける必要はないものですし、屋号の欄が空欄でも開業届・確定申告書は提出できますので、ご安心してください。
そんな屋号ですが、付けた場合には、どんなメリットがあるのか?
逆につけるとどんなデメリットがある場合はあるのか?ご紹介します。
(2)屋号を付けるメリットとは?
①屋号で銀行口座が作れる
1番の物理的なメリットが、個人名ではなく銀行口座が作れる点です。
フリーランスになると経理上の管理も自分で行わなくてはいけませんが、事業用の銀行口座を作成することで、プライベートと分けて管理できて楽になります。
②印象に残る屋号ができれば、事業・自身を覚えてもらえやすくなる
屋号があるかないかで、印象が違って見えます。
例えば、自分の業務内容について単的に明確に伝えられ、かつ印象に残る屋号に出来れば、取引先などに覚えてもらいやすくなります。
取引先がスキル不足・人手不足な際に自分のことを思い出して貰えるかも、営業で上手くいくコツの1つです。
③屋号があると、取引先・社会からの信用が上がる
屋号があることで、社会的な信用度が上がるというメリットもあります。
例えば、自身のサービスを売り込む時に個人名で売り込みを行うよりも、サイトにサービス名として屋号が使われていた方が、ビジネスとしてきちんと行なっているというアピールができ、信頼度が上がります。
また中には、税務調査の対策の1つとして、屋号での銀行口座への振り込みのみで報酬振り込み対応している企業もあるようです。
④過去の実績を示しやすい
ゆくゆくはフリーランスとしての事業が軌道に乗ったら法人化しようと考えている方にとっては、屋号は法人名として活用したいところです。
法人化する際に、屋号があれば過去実績を示しやすく、便利です。
3屋号を付けるデメリットとは?
①屋号を決めるのが大変・変更に関わる手間がかかる
印象に残り、かつ自分の事業を的確に表現できる屋号を付けるのは大変です。
また、自分のサイトや名刺、口座などに屋号を入れると、万が一変更したくなった際は、1つずつさまざまな変更の手続きがかかるので、慎重に検討する必要があります。
②屋号のイメージで仕事が狭まる逆効果
例えば〇〇デザインと屋号を付けたWEBディレクターの方が、依頼される仕事がデザインの仕事ばかりになりディレクションの仕事が来なくなってしまうということもあります。
屋号のイメージによって仕事に支障をきたしては本末転倒ですよね。
自身の業務、提供したい価値が理解してもらえそうな屋号になっているのかチェックしたいところです。
(4)屋号をつけたほうがいいケースって?
自分でつける名前であるため、自由に決められます。
そのため、実名を使用せずペンネーム、または旧姓を使用したい人は屋号を多く使っています。
例えば実際の仕事では屋号を全く使っておらず、確定申告や開業届に書くだけのために屋号を付けるのであれば、屋号は不要です。
5フリーランスの屋号の決め方とは?<注意ポイント3選>
屋号を決める注意点①:すでにある屋号・法人名は極力避ける
すでにある屋号や法人名サイトで上位表示している場合、検索上も自分の会社が検索結果上部に出ることはなく、不利になります。
最悪な場合、同じ名前の企業や事業主とのトラブルや、同じ屋号の企業が不祥事を起こした場合に間違われ風評被害を受けてしまうといった事態を避けることができます。
登録法人名は国税庁の特設サイトで確認することが出来ますので参考にしてみてください。
出典:国税庁
さらに、商標登録をされていれば、権利侵害にあたります。
その企業名や屋号名が他の企業ですでに商標登録を行なわれているものではないかも確認しておくと良いでしょう。
商標登録がされているかについては、特許情報プラットフォームで検索することができます。
出典:特許情報プラットフォーム
屋号を決める注意点②:会社と勘違いされる屋号は控える
◯◯株式会社、◯◯法人など、会社として法人化していると思われてしまう屋号はつけないようにしましょう。
誤解を生んでしまうことでトラブルのもととなります。
◯◯屋、◯◯商店、◯◯事務所など、個人でも法人でも付けられる名前にしておくと、いざ法人化した時も便利です。
屋号を決める注意点③:決められている文字・記号のみを使う
<使用可能な文字・記号>
- ひらがな、カタカナ、漢字
- ローマ字(大文字及び小文字)
- 数字
- 限定された一部の記号(「&」「’」「,」「-」「.」「・」)
<使用不可なルール>
記号の使用には、「・」は文末や文頭に使ってはいけないなど別途ルールがあります。
5フリーランスの屋号の決める際のポイント<ネーミングのコツ3選>
屋号をつける際のメリットとして、覚えて貰いやすい・思い出して貰うやすいというのが先述にもあったと思います。
ポイントは「分かりやすく、印象に残る屋号にする」です。
一言で表現していますが、非常に難しいポイントでもあります。
そこで、少しでも屋号が付けやすくなるよう、ネーミングのコツを3点ご紹介します。
ポイント①:濁音や半濁音、音の雰囲気を効果的に使い、印象に残す
濁音や半濁音が言葉につくと印象に残りやすいと言われています。
例えば、アイスキャンディーの「ガリガリ君」などです。
さらに、五十音でも、それぞれ人が感じやすいイメージがあります。
以下を効果的に使うといいでしょう。
<五十音がもたらすイメージ>
- カ行:快活、ハキハキ
- サ行:爽やか
- マ行:柔らかい
ポイント②:多くの人が聞いてすぐわかる名前にする
簡単な英語や日本語であれば、多くの人に認知されやすい名前になります。
その言語を勉強していないと発音が難しい言葉などを屋号に使うと、読み方もわからず覚えて貰いにくくなります。
例:英語でも親しみがあるワード
2019年流行語大賞の「ONE TEAM」や、今回のコロナ禍で注目された「STAY HOME」などは、基本的な英単語で表現されているので印象に残りやすかったと考えられます。
ポイント③:自分の事業や名前などを組み合わせて造語を作る
2019年に流行語となった「タピる」も、「タピオカ」+「を食べる(飲む)」=「タピる」です。
日本語にはこのように二つの言葉を足して生まれる造語が多くあります。
・地域名を入れる
地域に根づいて仕事をしている場合は、一例として「さいたま歯科医院」のように地域名を入れると覚えてもらいやすくなります。
・事業内容や商品名をもとにする
ITエンジニアは、職種がわかりやすいように「○○プロジェクト」や「○○システム」と屋号を付けているケースが見られます。
・わかりやすい名前にする
シンプルな屋号にすると、わかりやすく検索されやすくなります。
6フリーランスの屋号の手続きとは?
屋号は開業届で申告することが可能です。
実は屋号の特別な手続きは不要で、開業届で申告します。
開業届の「屋号」の欄に、自分の屋号を記載しましょう。その後の確定申告でも、「屋号」欄に屋号を記載しましょう。
また、すでにフリーランスとして屋号なしで確定申告を提出したことがあっても、屋号を使い始めて初の確定申告に屋号を記載すれば、屋号の申告が完了します。
7まとめ
フリーランスが知っておきたい、屋号の基礎知識についてご紹介しました。
無理に作る必要はないものですが、屋号を効果的に活用できれば自分の仕事のブランディングにも役立ちます。
フリーランスとして個人名で活動されてきた方も、確定申告に記載するだけで屋号の申告が簡単にできます。
今後の新規顧客の獲得強化にも向けて、これを機に考えてみてはいかがでしょうか?
「未経験からでもチャレンジしたいけど、何からしたら良いのかわからない…」
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